貸倒懸念債権の計算(CF見積法)
キャッシュフローをもたらす能力を持った経済的資源である現金(資産)は、
一定の運用(貸付金)による利息がつく(財務会計講義第22版 桜井久勝 P.84)。
貸付金1,000,000×3%=30,000
利息30,000円の現在の価値は、30,000÷1.03=29,126円(端数四捨五入)
20,126円が、将来もらえる利息30,000の現在の価値→割引現在価値。
29,126×1.03=30,000(端数四捨五入)→将来30,000円になる
その利子率が下がってしまったら、もらえるはずだ利息がもらえなくなる(受取利息の消失)。
例えば、X1年1月1日 10年の約束で(X10年12月31日)お金を貸付けた。取引先の会社の財政状態が悪くなり、X5年12月31日の時点で、3%の利子を残念ながら1%にしてほしいとお願いされた場合。貸付けてる金額(貸付金)は、1,000,000円で、5年後に回収が終わるとしたら・・・?
本来なら、1年後利息の30,000円もらえる、今の現在価値は29,126円。しかし、1%になってしまったので・・・?どうなるか?
計算は、1年後にもらえる利息を計算するところから始める。
1,000,000円の利息は1%に変更された→ 1,000,000×1%=10,000円 ※計算はすべて四捨五入
最初もらえるはずだった利息3%の金額から1%になったら、どのくらいもらえる利息が減ったのか、比較したいので1.03で割り算する。
計算式:
割引現在価値=n年後に受け取る金額÷(1+金利)n
1年後 10,000÷1.03=9,709 しかもらうことが出来ないので、30,000÷1.03=29,196円 差額は損したことになる。
2年後 10,000÷(1.03)÷(1.03) = 9,245 30,000÷ (1.03)2 = 28,278 差額は損したことになる。1.03は2回割り算する。
3年後 10,000÷(1.03)÷(1.03)÷(1.03) = 9,151 30,000÷ (1.03)3= 27,454 差額は損したことになる。1.03は3回割り算する。
4年後 10,000÷ (1.03) 4 = 8,885 30,000÷(1.03)4= 26,655 差額は損したことになる。1.04は4回割り算する。
5年後 10,000÷(1.03)5 = 8,626 30,000÷(1.03)5= 25,878 差額は損したことになる。1.03は5回割り算する。
上記では、四捨五入した数字なので、正確には計算が合わないが、
(29,196+28,278+27,454+26,655+25,878) ー(9,709+9,245+9,151+8,885+8,626)≒91,594 →この差額の金額が「将来の損失」となり、貸倒引当金としなければならない。
貸倒引当金繰入額91,594 / 貸倒引当金91,594
◎本来の計算
10,000÷1.03+10,000÷(1.03)2+10,000÷(1.03)3+10,000÷(1.03)4+(10,000+1,000,000)÷(1.03)5=908,406
1,000,000-908,406=91,594
貸倒引当金繰入額91,594 / 貸倒引当金91,594
5年後の、X10年12月31日受け取る金額(現金収入)は、元本も含まれるので、最後の年だけ1,000,000円を足して計算を行う。
現在で評価されると、その価値はキャッシュフロー自体の金額より小さくなる(財務会計講義第22版 桜井久勝 P.84)→1年後の割引現在価値より5年目の割引現在価値の方が金額が小さい。