引当金の意義
◆引当金について
将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする(企業会計原則・注解18)。
○発生の可能性の低い偶発事象、引当金を計上することはできない。
引当金設定の考え方
将来の特定の費用又は損失
その発生が当期以前の事象に起因
発生の可能性が高い
その金額を合理的に見積もることができる
当期の負担→費用・損失として計上
相手勘定→貸方項目
発生主義の原則、費用収益対応の原則→適正な期間損益計算を行うため
引当金の分類
費用性引当金
損失性引当金
評価性引当金
負債性引当金
法的債務(条件付債務)
法的債務でない引当金(会計的負債)
引当金の種類
1 | 貸倒引当金 | 将来発生する可能性の高い貸倒に備えて設定する引当金のこと。 |
2 | 売上割戻引当金 | 翌期以降に支払う見込の売上割戻(リベート)の額を見積計上することに伴って設定される引当金のこと。 |
3 | 返品調整引当金 | 販売価額で商品を引取るという特約を結んだ得意先より、返品される場合に備えて、売上総利益の減少分を見積もって計上する引当金。 |
4 | 製品保証引当金 | 販売した製品に対して、一定期間無償で修理や交換を行う保証をした場合、補修費用を見積もり計上する場合の引当金。 |
5 | 工事補償引当金 | 完成工事後、一定期間企業の負担で補修を行う保証をした場合、その補修費用を見積もり計上するときに設定する引当金。 |
6 | 賞与引当金 | 翌期に支払う賞与のうち、当期の負担に属する金額を見積もり、設定する引当金。 |
7 | 退職給付引当金 | 従業員の退職後に支給される退職金に備えて計上する引当金のこと。 |
8 | 修繕引当金 | 建物や機械など、当期に行うべき修繕作業を何らかの理由で行われなかった場合、その修繕費用を見積もって計上する引当金。 |
9 | 特別修繕引当金 | 数年に1度行われるような大修繕に要する支出額を見積計上する時にに設定される引当金(船舶、溶鉱炉など)。 |
10 | 債務保証損失引当金 | 他者の債務を保証している場合。将来その債務者に代わってその債務を弁済し、その損失を自ら負担しなければならない危険性が高い時に設定する引当金。 |
11 | 損害補償損失引当金 | 販売その他の営業活動に起因して損害賠償の請求を受ける可能性が高い場合、予想される損害賠償額を見積もり計上し設定する引当金。 |
12 | 役員退職慰労引当金 | 役員に対して役員退任時に支給する退職金の当期負担額を見積もって設けられる引当金。 |
13 | 工事損失引当金 | 工事契約による収益が原価を上回る可能性が高く、その損失額を見積もることができる場合設定される引当金。 |
14 | 役員賞与引当金 | 取締役など会社役員に対して臨時的に支給する賞与の支払に備えて、各事業年度の負担相当額を計上する引当金。 |
会社法上の引当金
評価性引当金は含まれない
条件付債務であるものは含まれない
分類と表示
賞与引当金
①賞与支給額が支給対象期間に対応して算定されている場合
→未払費用
②賞与支給額が支給対象期間以外の基準に基づいて算定されている場合
→未払金